一般社団法人 和歌山青年会議所
2024年度 第68代 理事長 井川 惇
はじめに
私は和歌山JCに入会し、若くして委員長を任せていただきました。委員長とはいえ、周囲は年上のメンバーばかりで、委員会に出席してもらうことや資料の作成など、頼みごと一つすることさえ勇気がいりました。今振り返れば、丁寧に誠意をもってお願いすることで、きちんとサポートしてくれる素晴らしいメンバーばかりでしたが、積極的に自分の意見を伝えることが得意ではなかった自分には大変なプレッシャーでした。いよいよ自分の力量を超えてしまい、現実から逃げ出し周囲から距離を置いてしまったことは、今でも苦い思い出として残っています。そんな状況になって、ずっと自分を信じて向き合ってくれている当時の理事長や上役をはじめとしたメンバーがいることを知り、一人ではないということにようやく気がつきました。決意を新たにし、委員会メンバーと協力することで、なんとか企画を完成させ、事業当日にはメンバーだけでなく、参加してくれた方々からも多大なるご協力をいただき、無事に事業を終えることができました。この経験を通して、人を思いやる心を身に沁みて感じ、人は一人ではなにもできないことや協力することの大切さを学びました。それ以降も、毎年多くのメンバーと共に運動に切磋琢磨していく中で、自らが和歌山JCやまちの人々の役に立ちたいと思うようになりました。一緒になって汗を流し、共に笑い、事業の成功を夢見て語り合いながらONE TEAMとなり、まちの発展に真剣に取り組む姿こそが私の目指す和歌山JCです。一つひとつは小さいことのように思えますが、その積み重ねの先に明るい豊かな社会が待っています。そして、この運動には家族や寄り添ってくれる大切な人々の理解が必要不可欠です。大切な人々と思いを共有し、共に手を携え歩んでいくことが、私たちが愛する故郷の和歌山市の輝く未来の一歩になるのです。 和歌山市には、まちの発展のために取り組んでいる団体や行政、学生などの人々が数多くいます。しかし、それぞれが同じ目標に向かって協力し合えているでしょうか。和歌山JCはまちの発展に貢献する一員として、市民の架け橋となり、共に輝くまちの未来を築くための運動を進めて参ります。
地域をつなぐまちづくり
近年、和歌山 JCでは地域活性化の波及効果を高めるために、様々な企業や団体、行政などと協力しまちづくりに取り組んでいます。そして、和歌山JC には多種多様な職業に従事するメンバーが在籍しているという強みに加え、長年にわたり築き上げてきたブランド力があります。我々が先頭に立ち、この強みを最大限に活用し、市民、行政、他団体など各分野で活躍されている人たちと協働し、和歌山市が誇るものにフォーカスすることで地域の活力が底上げされ、明るい豊かな和歌山市を実現します。また、持続的なまちの発展には、地域に住み暮らす人々のまちづくりに対する当事者意識を醸成することも重要な使命と捉えています。一時的な取り組みだけで終わるのではなく、持続可能なまちづくりの基盤を築くことで、未来につなぐ誇りある運動を展開します。
全員拡大を行える組織の構築とリーダーの育成
近年、和歌山JC のメンバー数は残念ながら減少傾向にあります。社会や経済情勢の変化など様々な原因が考えられますが、このような変化の激しい時代においても組織が成長し続けるためには、より多くのマンパワーが必要不可欠です。まずは、我々がおかれている現状をしっかりと把握し、危機意識を高めることが重要です。そして、私が率先して強いリーダーシップを発揮しメンバーを率いることはもちろん、それに加えて組織的で計画性のある拡大手法が求められます。また、入会したメンバーとのコミュニケーションを重視し、意見を出し合う機会を提供することで、メンバー同士の絆が築き上げられ、組織の一員であるという意識が高まります。 次に、誰もが運動に参加できる仕組みの構築が重要です。組織内には多種多様なバックグラウンドや経験をもつ個人が存在し、それらを尊重し合うことで組織力を高めることができるからです。そして、持続的な組織であるためには、次の世代を担う人財の育成は欠かせません。入会歴の浅いメンバーに役割をもってもらい仲間と共に事業に取り組み、自らが主体的に考え、自発的に意見を出し合う場を設けることで、事業構築の楽しさを学ぶことができます。それに加えて、積極性が醸成され地域を牽引するリーダーとしての自覚が育まれます。
共感と対話があふれる広報
SNSなどのインターネットメディアは、情報の拡散力に優れ、広報活動には欠かすことのできない存在です。広報において、最初に達成すべき重要な要素は、人々の目に留まることです。現時点では、和歌山JCの運動はまだ広く知られていない状況にあります。我々の運動が広く認知されるために、各運動を躍動感ある魅力的なコンテンツを交えて発信することで、多くの人々の興味を引き付けます。また、我々の運動に限らず、地域の人々にとって有益な情報を発信することで、和歌山JCの発信力をさらに高めます。そのうえで、ただ情報を発信するだけでなく、フォロワー数などの数値目標やフィードバックを重視することも忘れてはなりません。フィードバックを積極的に受け入れ、我々の運動を正しく理解してもらうことで、和歌山JCの価値向上につながります。
学びと友情を得る交流
異文化を理解し広い視野をもつことは青年経済人にとって重要な要素です。和歌山JCには長きにわたり友情を深めてきた海外の姉妹JCがあります。国際交流では、地域の伝統や習慣を理解し尊重することで、相互の文化への理解が深まります。これにより、固定観念や先入観を減らし、相互の共感と友情を促進します。また、他の国々や地域の経済状況とビジネスモデルを知ることで、組織や個人の見聞が広がり、新しい知識やアイデアと多様な視点が得られます。次に、トレンドの移り変わりの早い時代だからこそ、青年経済人のみならず、人々には常に知識のアップデートが必要不可欠です。メンバーや市民が一同に学び、情報共有や知識の向上に寄与する例会を実施します。
地域から愛される組織づくり
どれだけ素晴らしい運動理念があっても、それを実行に移す組織体制や財務管理の基盤がなければ机上の空論で終わってしまいます。地域から愛される組織であるためには、運動理念をメンバー一人ひとりに漏れることなく共有する必要があります。組織の最高決議機関である総会を厳粛に執り行うことで、メンバーの意思統一を図ります。また、規則に基づいた秩序ある組織運営と厳格な財政基盤を構築し、予算の範囲内で費用対効果を考慮しつつ、組織の透明性を維持するために、厳格なコンプライアンス審査と管理を行います。透明性とコンプライアンスは、メンバーや地域社会からの信頼を得るために不可欠な要素であり、持続的な発展を実現できる組織として、地域社会からの信頼を確立します。そして、本年度は日本JCをはじめ、数多くのメンバーが全国に出向します。LOM一丸となって出向するメンバーをサポートし、地元地域では得ることのできない価値ある貴重な経験や知識をLOMにもち帰ってもらうことで、より力強い組織づくりが実現できます。
結びに
和歌山JCには67年という長い歴史の中で受け継がれてきた組織基盤があります。基盤があるからこそ、新しいことに挑戦できるのです。明るい豊かな社会の実現という使命のもと、現状に満足せず、積極的にアクションを起こすことで、社会により良い変化を与えましょう。誰しもが理想の未来を思い描きますが、それを実現するのは簡単なことではありません。しかし、私たちがONE TEAMになることで、想像を超えた未来を築く力が生まれるのです。この力が周囲の人々に感動や共感を呼び起こし、さらに心強い仲間が集まります。そして、地域の人々を巻き込んでまち全体がONE TEAMとなり、活気や希望に満ち溢れ、和歌山市のすべての人々に笑顔が生まれます。一度しかない人生を有意義に、共に手を携えて輝く未来を実現しましょう。