和歌山市の観光名所や、和歌山市の歴史を感じながら、休日を過ごせるスポットを紹介していきます。
絶景の宝庫である和歌山市の中から、今回は雑賀崎地区についてご紹介します。
前回紹介させていただいたように雑賀崎は万葉集にも和歌が詠まれるなど歴史ある地域ですが、特に戦国時代から江戸時代にかけての史跡などが残っています。
その中でもまずは「養翠園」についてご紹介します。養翠園は紀州藩第10代藩主徳川治宝(とくがわはるとみ)によって1818年に造営されました。徳川治宝は、紀州藩において藩校を作って藩士の子弟への教育を義務化したほか、文化面での功績も大きい人物です。隠居後は現在の県立和歌山工業高校付近にあった西浜御殿に住み、船で養翠園を訪れて御茶を楽しんでいたそうです。
養翠園は海辺にあるにもかかわらず、近隣の天神山等の山を借景として造られていること、池は海水を引き入れた「汐入り」であることが特徴的な庭園で、国の名勝に指定されています。1995年にNHKで放送された大河ドラマ「八代将軍吉宗」ではロケが行われました。
多くの松が植えられた日本式の様相と直線的な橋などで構成された中国式の様相が融合した庭園となっており、園内には養翠園造営当時からある茶屋「養翠亭」が保存されています。
また、江戸時代、雑賀崎の岬には海防のために遠見番所を置いていました。この番所跡地を整備したのが、「番所庭園(ばんどこていえん)」です。番所庭園のある「番所の鼻」は黒船来航以降は見張り番所となるなど海防の重要拠点としての役割を担っており、近くの「トンガの鼻」にも、紀州藩が築いた土塁や石垣、砲台などを置いた雑賀崎台場の遺構があります。
現在の番所庭園ではバーベキューや磯釣りを楽しむことができ、また、プライベートビーチもありますので、家族や友達同士で遊びに行くのにも良いのではないでしょうか。
番所庭園の近くには雑賀崎灯台があり、紀伊水道を一望する最高の景色を見ることができます。現在は通行禁止となっていますが、雑賀崎灯台の下には上人窟と言われる洞窟があります。織田信長によって石山本願寺が攻められ、教如上人が本願寺を追われた際、紀州の雑賀衆がこの雑賀崎で上人を保護したと伝えられています。雑賀崎灯台近くには雑賀崎の名物の一つでもある干物「灰干さんま」の直売所もありますので、雑賀崎に行った際にはお土産に購入して味わってみるのもお勧めです。
番所庭園 雑賀崎灯台と上人窟
次回も雑賀崎地区についてご紹介させていただきます。是非ご覧ください。
第1回はこちら https://www.wakayama-jc.net/?p=5690
第3回はこちら https://www.wakayama-jc.net/?p=5809