Q5. 就職担当者から見た、和歌山大学の学生が県内外に就職する理由はどういったものでしょうか
こちらの問題も場合分けをして考えてみたいと思います。
① 学生が県内出身の場合
県内企業に就職する理由:
- 和歌山から出たくない、離れたくないという想いがあるから
(和歌山大学への進学も「和歌山から出たくない」の想いから決めている学生もいます) - 保護者の意向(子供に遠くに行ってほしくない)を尊重しているから
- 和歌山での生活に不便を感じていないから
県外企業に就職する理由:
- 自身が希望する仕事にマッチする企業がない、少ないから
- 都市部(大阪など)の企業と比較すると給料が少ないから
②学生が県外出身の場合
県内企業に就職する理由:
- 学生生活を経て、和歌山を気に入ったから、悪くないと感じたから
- 都市部(大阪など)に比べ通勤ラッシュがひどくないから
- 和歌山での生活に不便を感じなかったから
県外企業に就職する理由:
- 自身の地元の企業に就職したい(地元に生活拠点を置きたい、戻したい)
※和歌山大学の学生の約半数は大阪府出身
◎就職担当者から見た補足情報
- 県内がいいか県外がいいかの議論以前に、県内の求人数と県外の求人数に大きな差がある
(県外就職者が増えるのはある種、必然とも言える状況になっている) - 県外出身の学生は地元や和歌山といった「どこ」にこだわりを持っていないことがある
(県外出身の学生にとって、学生生活を送る和歌山はすでに地元を飛び出した他府県であり、就活の際も勤務地にこだわらないケースも) - セカンドキャリア、サードキャリア…と転身することを考えた際、和歌山でキャリアをはじめてしまうと、次への転身が難しくなる可能性がある(と考える学生がいる)
- 県外企業を希望する背景には、都市部(大阪など)での生活に魅力・憧れがあるからという理由が少なからずある
- 都市部(大阪など)出身の学生が家賃や物価の安さを決め手に県内就職を選択するケースもある
(県外出身の学生は和歌山で一人暮らしをしている場合も多く、無意識のうちに地元と和歌山をコスト面で比較していることが多い) - 学生が和歌山の魅力ある企業について知らない(情報を持っていない)ことが多い
Q6. 学生の就活に有利になるような学校PRをお願いします
<<和歌山大学は地域に根差した大学を目指しており、地元就職に力をいれています!>>
地元にいかに人材を輩出し、地域と共に連携しながら活性化に貢献するかを考え、取り組んでいます。和歌山県内の様々な企業とつながりを構築し、お互いに情報交換、交流などを行っています。
和歌山大学は、平成27年度から令和元年度の5年間に、文部科学省による「地(知)の拠点大学による地方創生推進事業(COC+)」に採択され、地元への人材輩出や地元就職に力を入れてきました。事業期間は終了しましたが、本事業を継承し、地元和歌山に貢献できるように取組みを続けています。
例えば、事業採択当初は、就活本番を迎えた3年生に和歌山の魅力的な企業を紹介する説明会を開催しました。現在ではこの内容を更に発展させており、1、2年次のキャリア形成科目の授業の中で地元企業の紹介に積極的に取り組み、学生の選択肢の中に和歌山の企業が入るように知る機会を増やしています。 また、学外で開催される企業主催のイベント等の情報も幅広く発信し、学生に参加を呼びかけるような取組みも行っています。
Q7. 【就職担当者】から見て、和歌山の企業(和歌山就職)に求めることはなんでしょうか(どうすれば県内企業に就職する・興味を示す学生が増えると思いますか)
何点か挙げることができると思います。実現のハードルが高いものを挙げると、
- 給料面の改善(都市部の企業やいわゆる大企業と同等の水準に)
- 選べる仕事の幅が増えること
があると思います。
比較的、ハードルが低いものを挙げると、
- PRの仕方や見せ方に力を入れること
これがかなりの効果を発揮すると考えます。
極端に思えるかもしれませんが、次の例を見てみてください。
(例1) 就活生を対象とした企業の合同説明会を想像してみてください。
A社のブースは白黒印刷のわら半紙の資料、自社製品を展示し、説明パネルを設置。
B社のブースはカラフルでおしゃれな資料、自社製品の展示に加え、製品PR動画を再生。
仮に、両社が同じような知名度、同じような事業内容であったとしても、
B社のブースに集まってくる学生の方が多いのです。
(例2)企業HPを想像してみてください。
A社のHPには企業沿革や詳細な事業説明がびっしりと書かれています。
B社のHPには企業説明はそこそこに、目を引くおしゃれなオフィスやそこで活き活きと働く社員の姿が掲載されています。
仮に、両社が同じような知名度、同じような事業内容であったとしても、
B社のHPに興味を示す学生の方が多いのです。
その差はなんでしょうか?
→見た目の良さ(PR・見せ方に注いでいる力)が違うのです。
誰もが知る有名企業であればA社のような取り組みを続けていても多くの学生に興味を持ってもらえるかもしれません。でも、そうではない企業がA社のような取り組みを続けていたら、なかなか学生の目に留まらない、心に残らないというのが現状だと思います。
ですので、PRの仕方や見せ方に力を入れていただけたら、それだけで学生の集まり方は変わってくると思います。(PRにSNSの活用を導入するなどもいい手だと思います)
貴重なお話、ありがとうございました。
以上で、「~おしえて!就活世代の今~」和歌山大学編(後編)を終了させていただきます。次回の記事もお楽しみに~!
【今回の取材先情報☆】
学校名:和歌山大学
電話番号: 073-457-7935(キャリアセンター)
住所:和歌山県和歌山市栄谷930番地
HP URL:https://www.wakayama-u.ac.jp/