今回は、今年で創立110年を迎える和歌山県立和歌山工業高等学校にお邪魔し、同校の藤田校長に、就活世代の今を取材させていただきました!
Q1.和歌山工業高等学校には就活に有利になるような特別なカリキュラムはありますか?
藤田校長:様々な検定や資格を取得することができます。また独自で企業ガイダンスを行い、様々な企業さまの話を聞くことができます。
Q1α. 「資格取得」また「企業ガイダンス」は具体的にどのようなことをされてますか?
藤田校長:全国工業高等学校長協会の行う「ジュニアマイスター顕彰制度」を用いています。「ジュニアマイスター顕彰制度」とは公益社団法人全国工業高等学校長協会が運営する顕彰制度で、工業高校の生徒が資格や検定、コンテストの成績などで得た点数を合計して、一定の基準を満たした生徒に授与される称号です。これにより、生徒が資格等を取る意欲が高まり、さまざまな資格や検定を取得することができます。
また、本校独自の企業ガイダンスを現在は2年生を対象に実施しています。県内からを中心に約90社の企業が集まり、生徒はその中から3社ほどを選び説明を受けることができます。今後は対象を1年生にも広げていきたいと考えており、多くの生徒に、和歌山にはこんな素晴らしい企業さんが近くにあるのだということを知って欲しいと考えています。
そして試験的にですが、長期のインターンシップ制度も導入しています。創造技術科の生徒が6月からの半年間、毎週木曜日の午後、受け入れ先の企業さんを訪問し、実務に取り組ませていただいています。週1回とはいえ半年間に渡り通わせていただくことで、生徒の技術力向上はもちろん、様々な工夫や試行錯誤をしながら、真心を込めて製品を作っている社員さんの魂や熱い想いを感じ取れるのではないかと考えています。また、モノ作りの面だけではなく、買っていただくお客さまの声を直接聞く機会にも触れることができます。そういった経験を通じて、働くとはどういうことか、社会に出るというのはどういうことかを知ってほしいと思っています。働くとはどういうことか、社会に出るというのはどういうことかを知ってほしいと思っています。
Q2.そのカリキュラムはどういった点が就活に有利になりますか?
藤田校長:先ほども挙げましたが、全国工業高等学校長協会の行う「ジュニアマイスター顕彰制度」を用い、さまざまな資格や検定を取得することができる点が、就活に非常に有利です。たとえ、のちの就職先でその資格が必要でなかったとしても、一生懸命取り組み資格・検定を取得したという積み重ねが、世間に出てからの自信や積極性につながるはずと考えています。
Q3.学生に人気の職業はどのような職業ですか?
藤田校長:やはり工業高校ですので、製造業、建築業が人気です。
Q4.学生が企業に対して求めていること3選を教えてください
藤田校長:給料などの福利厚生がしっかりしている企業、休みが多い企業、寮や社宅がある企業、その3つを求める生徒が多いです。求人票や、先生が企業から聞き取った情報を生徒がしっかり読み込み、就職先を選んでいます。
Q5.県内・県外に就職する学生の割合を教えてください
藤田校長:卒業生のうち約40%は専門学校などに進学し、約60%が就職しており、県内就職は約80%、県外就職は約20%です。約80%県内就職というのは、他校に比べても非常に多いです。
Q6.担当者様が考える県内・県外に就職する理由とはどのようなものがありますか?
藤田校長:県内就職は、和歌山が好きで地元から離れたくないという卒業生や、友達も県内にいるからという理由が多いです。自宅から通える範囲の会社を選択する生徒が多く、昔と違い都会への憧れが減っていることも要因です。またコロナ以降リモートワークも増え、上記理由と加えて県外に出る理由がないというのもあります。一部の生徒からは、そもそも社会人になることに対して大きな不安があるので、まずは地元を拠点に社会人生活に慣れていきたいという声も聞かれます。
県外就職は、県内就職の逆で、地元や親元から離れ独立したい、都会への憧れ、あとはやはり大手企業などが多いというのが要因です。ただ、本校卒業生の地域別で見た県外就職先は関西国際空港の関連企業など和歌山寄りの大阪を中心に関西が大半を占めており、就職先こそ県外ではあるものの、和歌山から通勤しているという方々も多くいます。そのため、卒業後も和歌山在住を続ける割合という観点だと先ほどの80%を超える結果になると思います。
Q7.最後に就活に有利になるような学校のPRをしてください
藤田校長:本校は普通科高校と違い工業に特化した学校です。建築科など工業関連の多種多様な学科があり、授業や実習の中で実際に設計やデザイン、モノづくりを行う機会も多くあります。即戦力とまでは言いませんが、普通科高校の生徒さんに比べ就職や働くことに対する意識が高く、企業さんから見て意欲的な学生が多いはずです。
また、先ほどから何度か紹介しているジュニアマイスター顕彰制度を全学科で活用しています。そのため、多くの生徒が様々な資格・検定を持っていることはもちろん、資格や検定を取得するための努力を何度も何度も体験しています。この努力を何度も繰り返す経験や努力の先にある達成や成功の経験は社会人になったときの強みになると考えています。
Q8.和歌山の企業に求めることはなんですか?
藤田校長:和歌山に住んでいるみんなが盛り上がること。それには企業の力が必要不可欠。頑張っている企業に、生徒が就職してほしい。また事業の一環として、長期のインターンシップに賛同いただける企業を求めています。学校×地域、あるいは学校×企業など、生徒たちにとって学校だけでは出来ないことを学び、それを学んだ生徒たちが未来の和歌山を担っていってくれたら嬉しいと思います。
和工ってどんなとこ?
和歌山市西浜にある工業高校。1914年(大正3年)に「和歌山県立工業学校」として開校したのが始まり。今年で創立110周年を迎える歴史ある高校。建築科、機械科、産業デザイン科など7つの専門学科がある。就職、進学に関しても先生が親身になってサポートしてくれる。
藤田校長は就任2年目。教科は数学。趣味が豊富で、中でも革のバッグやスマホケース、自宅の家具などもご自分で作られるほどの技術の持ち主。どんな時でも生徒さんのことを一番に考えておられ、「こうしたら生徒の学びになる」など、常にアイデアを思いついたらメモに書き留めておられる。
貴重なお話、ありがとうございました。以上で、「~おしえて!就活世代の今~」和歌山県立和歌山工業高等学校編を終了させていただきます。
次回の記事もお楽しみに~!
【今回の取材先情報】
学校名:和歌山県立和歌山工業高等学校
電話番号: 073-444-0158(代)
住所:和歌山県和歌山市西浜3丁目6番1号
HP URL: https://www.wakayama-th.wakayama-c.ed.jp/